すると、彼女の両手は腿の前辺りの、着物が交差する縁を摘んだのだ。
そして全ての者たちが見守る中で、その紗のノレンを大きくまくり上げたのだ。
布地が左右に開くと、乙姫の素のままの下半身が惜しげもなく丸見えとなった。
ムチリと肉の張る両腿が並び、股間の集約地点には、程良い漆黒をした茂みがたたずんでいた。
そして、その中心に、扇情的なまでの肉裂と、ちょっぴり顔を出す双襞が確認できるのだ。
男の犯し続けた女の証は、昨晩とは形を異した、まるで使い回した手ぬぐいのように、割れ目の間から溢れていた。
「これは…これは…乙姫様。」
兵之助は赤面しながら、彼女の方を向いた。
「そのような艶めかしい振る舞いで見送られるとは…痛み入ります。」
男の口調は、乙姫自ら、このような破廉恥な行為に及んだとでも言いたげであった。
「なッ!」
乙姫は恥辱に震えながら、悔しそうに着物の裾を強く掴んだ。
何か、反論したい様子もあったが、女はそれも無意味であると感じ、無理にでも笑顔をつくり、苦々しく微笑んだ。
すると、男はスッと、手を差し出し、うち、中指一本を女の秘所へと忍ばせた。
みなの視線の中で、指の腹で以って、名残り惜しそうに、乙姫の秘唇を貪ったのだ。
「くぅ…!」
彼女は小さく、悔しそうに鳴いた。
(なぜ、こうまでして…。このような不埒な輩を楽しませなければならないのか。)
悔恨ばかりが、胸を巡った。
すると、兵之助の指は、さらに奥へ伸び、秘穴を見つけると軽くねじ込んだ。
そうして、2・3回転、指を回して、乙姫の中を攪拌したのだ。
その間、女は唇を真一文字に結び、俯き、耐え忍んでいた。
最後に男はニンマリと楽しそうな含み笑いを見せ、その場を去っていったのだ。
波の打ち寄せる音だけが、繰り返し耳に語った。
気が付いた時、男は浜辺で倒れていた。
上体を起こし辺りを見回すと、太陽は南中よりも少し西に傾き、時刻はまだ昼過ぎであった。
昨日、亀の背中に乗せられ、竜宮城へ向かった頃と何も変わってはいなかった。
まるで、夢でも見ていたようだ。
男はそう思った。
しかし、傍らにある土産の木箱を見て、それが現実のものであったと知ると、改めて喜びが湧いてくる。
己の股間に手を這わすと、乙姫の肉筒の締まる感覚が蘇り、新たな疼きを感じた。
「拒みながらでも、媚びてくるようなやらしいオマンコじゃたなぁ…。」
男はニヤニヤと笑いながら、一晩の女を頭へ巡らせた。
そうしながら、木箱の紐を解き、蓋を開けたのだ。
すると、どうだろう。
蓋を持ち上げた途端、箱の中からは、真っ白な煙が立ち昇り、男を包むではないか。
「ゴッ…ゴホッ…ゴ、ホ…ゴホ、ゴホ…ッ!」
男は咳こんだ。
「何だ?土産とは嘘じゃったのか?」
男は、乙姫を乱暴した事による仕返しだと考えた。
靄(もや)が晴れると、男は木箱を投げ捨てた。
「騙された!期待だけさせよってからに!こんな事なら、もっと酷い目に合わせておくんじゃった!」
自身の身に起こった変化を知る由もなく、男はそのまま自宅を目指していた時であった。
「ちょっと、そこのお前!」
ある小者(現在の警察)に呼びとめられたのだ。
「はい?何でしょう?」
すると、小者は懐から藁半紙を取り出し、それと男の人相を見比べるではないか。
「うむ!間違いない!」
小者は、強く頷くと、なんと兵之助を逮捕したのだ。
突然の禍(わざわい)に兵之助は驚いた。
奉行所へ連れてゆかれ、理由を聞かされると、兵之助と同じ人相がお尋ね者として出回っているとの事であった。
「ちょっと、お待ちください!何かの間違いです。」
兵之助は泣きついた。
そもそも、見せてもらった人相とは似ても似つかぬ。
「私は、こんなに老いてもおりませぬし、髭もありませぬ。」
そう嘆願せども、奉行所には取り合ってもらえなかった。
そうして突き出された鏡を見て、男は驚いた。
この鏡に映っているのは己の顔なのだろうか。
しばらく、呆然となった。
顔中にしわが入り、髪は白く、髭までも映えているではないか。
「どうだ!これで言い逃れできまい!」
小者は強く男に迫った。
「汝、強姦の罪で逮捕する!」
男は観念したのか、ガックシと肩を落とした。
その後、男は牢屋の中で海よりも深く反省する日々が続いたのだった。
完。