翌日、本城真紀は学校へ姿を見せなかった。
当初、彼女の身が案じられながら、しかし「教師とあろう者が無断欠勤とな何事か!?」あるいは「何か事件にでも巻き込まれたのでは?」といった噂が漂ったが、時とともにそれを気に留める者はいなくなった。
失踪から3か月目の事である。
「本城さん…検査の結果ですが…。」
男は間を置いて語調を整えた。
「妊娠しています。3か月ですね。」
T産婦人科の診察室で真紀は医師からそう言い渡された。
しかし彼女は顔を伏せたのだ。
本当なら喜ばしい事柄なのだろうが、今の真紀にとっては違った。
担当クラスの生徒たちから受けた強姦による望まぬ妊娠。
その由あって、彼女は上を向けなかった。
「実は――」
医師には事の経緯を伝えたが、生徒たちによる暴行である旨は伏せて話した。
真紀は力なく扉を押すと診察を終え、外に出た。
気温35℃
太陽の光が頭上より女に圧し掛かる。
しかし、真夏だというのに、真紀は肌の露出を避けていた。
長袖のシャツ、その襟は上までボタンがかかり、下にはGパンを履いていた。
肌といえば、顔と両の手くらいしか外気に触れてはいない。
季節に似つかわしくない姿は、人の視線から逃れるように、足早に雑踏を縫った。
人の、男の視線に嫌悪を極める。
むせるような嗚咽がいまだに喉の奥から顔を覗かせるのだ。
街頭でティッシュを配る人、女を連れ歩く男性、男という男はみな避けて歩く。
人通りの多い道から逃げ、横の細い閑散とした通りへ飛び込んだ。
家外で安らぐ場所などどこにもない。
自宅に籠り、ただ己の身の平穏を望むのみの日々を欲していた。
女に生まれた事を悔み、涙し、神を責める。
それでも医師へ生徒の暴挙を伏せて話したのは、未だに教師という立場へ憧れと尊敬を抱いているからに他ならなかった。
その時、ふと真紀の前に立ちはだかる者があった。
俯く真紀の視界には6本、3人の足が入った。
身を交わし、素通りしようとした時だった。
中の一人が横に動き、再び彼女に通せんぼをしたのだ。
怪訝にその表情を上げると、真紀は驚嘆した。
そこに憚(はばか)っていたのは、小笠原、北村、寄井の3人であった。
この世で唯一、本城真紀の身体の味を知っている男である。
学校帰りであろうか、制服を着、片手にはカバンを下げていた。
女の表情が強張った。
思わず後ずさりしかけた真紀の腕を掴んだのは、小笠原であった。
彼らはニヤリと笑うが、無言であった。
そのまま、彼女の腕をぐいッ!と引き、雑居ビルの狭間へと女を引き摺りこんだのだ。
「あ…ッ!」
最初に小笠原が、次に本城真紀の順となった。
それに蓋をするように北村と寄井が押し入った。
「きゃぁぁッ!は、放してッ!!」
しかし、女の悲鳴は通りを行き交う人に遠く届く事はなかった。
まるで排水溝から汚水が逆流するかのように、鼻をも摘む悪しき記憶が蘇り溢れだす。
真紀は逃げ出したい一心で、くるりと反転し、小笠原に背を向けた。
「そこを退いて!」
手を振りかざしたが、暴れるその手を捉えたのは北村であった。
「ふぐぐ…ッ!」
大きな身体から繰り出された掌で両の手首をひと括りにされ、残ったもう片手で女の口を塞いだ。
「人の少ない場所へ自ら飛び入ってくれて有難かったぜ!」
背後の声が躍っていた。
彼らは絶えず真紀を監視していたのだろうか。
それを確かめる術は皆無であるが、しかしこうして彼女を狩るという事は、即ち未だ真紀は野を駆けるウサギなのだろう。
餌の在り処を知った犬猫がその場所を訪れるように、男たちも再三その女の動作を嗅ぎまわっていたのだろう。
小笠原は女の腰へ背後から手を回した。
自分のバックルを外す要領で、女のそれを外しだした。
肌を覆うために身に着けたズボンが、その役目を奪われようとしている。
カチャカチャと金属音が鳴ると、前のジッパーに指がかかり、ジジ――ッ!と低くセミの鳴くような音が連なった。
すると、ジーパンの前は布地が反りかえり真っ二つに割れたのだ。
(ああッ!)
真紀の瞳孔が縮みあがった。
ズボンが落ちるや、純白をまとう豊臀が露わとなった。
(もう許してッ!)
ふさがれた口の中で真紀は叫んだ。
背後の男は、さらにパンティにまで手をかけ、一気にその頼りない布地を摺り下ろした。
ビリッと縫い糸の切れる儚い音とともに、朽果てたような8の字は、太腿の中央でとどまった。
「ひゅ〜!」
前の男二人からは興奮を抑えきれないといった囃(はやし)し立てる声が聞こえる。
そうして男は腰に手を回すと、目一杯に女の下半身を引いた。
すると揃い実った絹のような丘は、男に向け突き出されたのだ。
生温かい肉棒は音もなく背後から、その臀部の谷間をくぐり、言わずと知れた女の秘穴へと頭を付けた。
運命とは、かくも残酷を好むのだろうか。
動き始めた車輪と同じように、容易にはその力より逃れる術はないのだろうか。
肉棒はその口を押し開くと、ぬぷぷぷ…ッ!と彼女の中へ潜る。
真紀はあの日と同じように身を震わせた。
彼らが飽き果てるまで、その身を蹂躙されるのだろうか。
「保健室でヤッてからずっと先生のオマンコが忘れられないんだよ!」
小笠原は、腰を引くや、満を持して男を叩きこんだ。
研がれる刀が石と触れ光りを帯びるように、男根は膣の内壁と擦れ威を増す。
ただ絶える事のない欲望を鎮める為に、真紀は弄ばれる。
(許して…ッ!ああ、許してッ!)
街角の人目にも付かないビルの間で、真紀の悲鳴はコンクリートに反響しながら消えていった。
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