2年5組のある教室棟2階の渡り廊下を、職員室方面へ駆ける真紀の姿があった。
それを寄井、小笠原、北村の3人が屋上の棟屋の上から眺めているのだ。
ここからはすべての部屋が覗ける。
先ほど職員室で注意を受けた姿も彼らに目撃されていたのだ。
「お、本城だぜ!」
小笠原の言葉に吸い寄せられるように、二人は身体を起こした。
三人の目がまるで遠くから獲物を狙うハンターのように、真紀へフォーカスしたのだ。
走る度、薄手のブラウスの中から突き上げる胸の膨らみが忙しくゆっさゆっさ!と上下に揺れていた。
腿の中ほどで止まったミニスカートから繰り出される脚の流線は、まさに男を引きつける造形。
スラリと伸び、肉付きが良好である。
彼女が向かいの棟へ消えてゆく時、タイトなスカート地から浮かび上がる美臀がデザートのように眼福に満足を添えた。
「ああ、誰でもいいから女とヤリてぇ〜…。なんとかならねェかな…。」
寄井が空を見上げ呟いた。
「他の学校に移れば?規則緩いでしょ…。」
「はは…オレたち馬鹿なのに、どこに移るって?」
3人は笑いあった。
H私立高等学校はカト○ック系の学校であり、恋愛禁止。
特に性的干渉に関しては、校内の規律により厳禁とされていた。
さすがに現代のこのご時世において身嗜み、女性の肌の露出になどに関し口うるさく言わないが、しかし、塀で囲まれた男子校、真紀の洗練された姿態が生徒の欲情を煽っていようとは。
本人がそれに気づいていない事は皮肉としか言いようがなかった。
職員室から戻ると、真紀は残った生徒にプリントを配り、朝のホームルームは終わった。
もうじき、1時間目が始まるのだ。
「それじゃ、今日も一日頑張って!…ネ!」
そう言うと、教室を後にした。
すると職員室へ帰る途中、なんと例の3人組とはち合わせたのだ。
「こら!待ちなさい!始業時間はとっくに過ぎているのよ!」
真紀は、無視し横を素通りして去ろうとする彼らに叱責した。
3人の前に仁王立ちすると、立ちはだかった。
すると、胸にそびえる純白の隆起が、ツンと張るのだ。
「時間も守れないなんて、小学生以下よ!それに身嗜み!」
真紀は彼らのボタンの留まっていない制服の襟、そして踏まれて潰れた靴の踵を指差して叱った。
「さあ、先生の前で、今すぐ直しなさい!」
廊下の果てにまで響く甲高い声だった。
自身の指導力不足を懸念していた真紀は、ここぞとばかりに力がこもったのだ。
「そんなに大声で言うなよ…!」
始めに口を開いたのは3人の中でもリーダー格の小笠原であった。
「それに小笠原君!校則ではピアスは禁止です!」
しかし、3人とも反抗的な眼を向けたまま応じようとはしないのだ。
「まだ頭が眠っているのかしら!?先生の言っている事がわからない!?」
再三の注意の末、ようやく、渋々ではあるが各々身なりを整えた。
小笠原に至ってはピアスを外された。
廊下には、1時間目に移動のあるクラスの生徒が通り、叱られている3人を瞥見してゆくのだ。
まるで見せしめのようで、これ程格好の悪いものはない。
真紀にも悪気はないのだろうが、如何せんタイミングが悪かった。
指導に従う他なく、反抗の隙間がない状態と言ってよかった。
「よし!」
真紀が彼らの身なりを確認したところで、ようやく解放となった。
「1時間目には遅れないようにね…!」
入室を急ぐように促すと、連中の不服そうな視線を背負い、真紀は階段を下りていった。
その黒地のスーツから浮き上がる臀部の豊かな膨らみに、彼らは再び生唾を飲んだ。
「綺麗な脚だなぁ…。」とは寄井の言葉であった。
「絶対に犯す!」
小笠原の捨て台詞に、2人が苦笑した。
「まるで野獣みたいだな…お前は!」
その言葉に小笠原も、苦笑いを返したのだ。
「でも、さっき職員室で本城が柳井に叱られてたぜ!」
「ああ、なんだかプリントを手渡されていたような感じだったな!」
「きっとどこかに無くしたのを柳井に届けてもらったんだろ…!」
そう思うと、たかだか25歳のいち女性にあれこれと指導される事が疎ましく思えてくるではないか。
「あれで“先生”だなんて笑っちゃうよな!」
いつか性奴隷のように扱ってやりたい。
3人の眼差しはそれを物語るのに十分な、漆黒の光を灯していた。