胎内に射精されるという行為がどのように嫌悪を極めた行為かわかるだろうか。
自身の体温とは、別の温もりが、もっとも清らかで優しい場所を侵すのだ。
「ああ、熱いッ…ひ、ひはぁぁぁ…ッ!ぬぐぅぅぅ――ッ!!」
美香子の悲鳴など、遠くでさえずる小鳥の声のようにしか、聞こえない。
ニシムラは至福の瞬間を噛みしめ耽っていた。
白濁はとめどなく溢れ、シンボルの蛇口は壊れた水道であった。
「くはッ、ああっ…駄目。ンンンっ……やっ…あつい!あああっ、抜いてぇっ!!」
マリーは美香子の表情を見るやさらに喜んだ。
涙を流すばかりか、まるで大切な会議に遅刻しそうな、死に物狂いで慌てて走るOLのように真っ青な表情。
「あぁ、わかるわ〜お嬢さん…。今、中に出されてるのねぇ。素敵よッ!」
マリーはカメラを近づけると、美香子の顔のアップから、じょじょに下り、胸、腹へとレンズを這わせる。
「熱いでしょ?たっぷり注ぎこまれてる証拠ね。ちょうどこのヘソの下辺りかしら?熱くて堪らない場所は…。」
「お、お願いしま…す…。ぐぎィ…早く…抜かないとぉ!」
「大丈夫よ…。すぐ終わるから…。」
しかし、ニシムラのペニスの喜悦はどうであろう。
一度出し終えたと思っても、思いだしたように、再び、びくびく…ッびくびく…ッと震えるのだ。
こんな気持ちのいい射精をしたのはいつ以来であろう。
不満を吐きだした時、腹の底からすっきりするが、今、男は玉の底からすっきりしていた。
もうこれ以上出ない。
それを、まだ出し足りないといい、不満げにペニスの筋はびくびく…ッと悶えるのだ。
「もう、…終わったんでしょ…?早く…抜いて…ィ…くださ…い…。」
美香子の声は枯れ果てつつ、焦燥の色を灯し始めていた。
一刻も早く膣内を洗浄しなければならないのだ。
決してこの悪夢から覚める事はないであろうし、この穢れた感触が拭えるでもないであろう。
しかし、美香子は最後に、この母体で慮っていた。
しかし、ニシムラは一向にペニスを抜こうとはしないのだ。
「もっと腹の中にオレの種を溜めておいてくれよぉ。」
そう言いつつ、男は萎える気配のない勃起を、美香子に食わせたまま、腰を意地悪く上下させるのだ。
ぬるる…ぬるる…と、とろろ昆布の海を泳ぐ、心地よい感触が男を包んでいた。
空のどこかで、人間には無関係そうにカモメが鳴いていた。
美香子の中より男が抜かれたのは、もう随分とたっての事であった。
肉塊が萎え、割れた風船のようになった肉皮を、ずるる…と秘穴から外した。
それから男は立ち上がりつつ、腰の上に跨ぐ女を乱雑に、放ったのだ。
どさり…と擦れる音がし、美香子は、マリーの足元へひれ伏すように、身体をうつ伏せた。
マリーもニシムラも満足そうに女を眺め、周囲の野次馬もエロスの極みを拝み、一つのショーが幕を引くような興奮冷めやらぬ表情をしていた。
ああ…なんと酷い。
ぐったりと横たえる19歳の女の股間には、芯をくり貫かれたパイナップルの中心のような立派なほら穴があり、肉は閉じる事を忘れてしまったのか。
「あらら…お行儀の悪いお嬢さんねぇ…。大と小の穴は閉じるのに、交尾する穴はそのままなの?」
マリーはレンズを、美香子の股間へ、押しつけんばかりに近付けた。
と、その時であった。
きっと時代劇では、将軍様が一件落着を言い渡すタイミングであるだろう時に、美香子の開いた膣口から、ぬばぁ…と大量のスペルマが溢れたのだ。
その白い帯は、シルクの臀丘を過り、腿の一部を伝い、乾いた床のタイルへ至った。
カメラは詳らかに事実を撮り、記録するだけであった。
犯された女の哀れを、内藤美香子の敗北を。
空は晴れ渡り、海を渡る遊覧船のような雲を幾つか並べていた。
再びカモメが鳴いた。
気持ちのよい、すがすがしい風が吹く。
処女喪失。
内藤美香子、19歳の初夏の午後、どこを彷徨っているのかさえ分からぬ船の中であった。
ドアをノックする音が聞こえたので、マークスは扉を開けた。
そもそも、この部屋を訪れる人物は一人しかいないはずだし、訪れる時期もそろそろだと思っていた。
「はい…。」
扉の向こうに立っていたのは、頭皮が禿げた小太りの男であった。
男性の中でも小柄なマークスと比べると、男は10cm近く上背が高い。
「どうも、内藤秀明(ないとうひであき)です…。」と、小太りの男は名乗った。
「ああ、あなたが…。お話は窺っております。」
マークスは胸を撫で下ろした。
これで、哀れな女性たちが救われるのだと思った。
マークスは敬虔なクリスチャンである。
この任務を完遂するためには、船の最奥まで踏み込まねばならず、その為には男性でなければならないとの話から、この案内人を引き受けた。
「少し準備が必要です…。お入りください。」
マークスは言った。
客人に化け、VIPルームを用意し、そして内藤秀明が来た事で計画は綻びなく進行しているものと実感した。
「あなたが来るまでの間に、船内の最下層部分は、随分と調べましたから。あと少し頑張りましょう。」
小太りの男が一歩、部屋へ足を踏み入れると、マークスは彼に背を向け、「こちらへ…。」と先導した。
が、それがボランティアの者を用いた“LK”の甘い所であった。
小太りの男は背後からマークスの身体を倒し、圧し掛かった。
華奢でなよなよとしたマークスの体躯は、いとも簡単に手足を縛る事ができた。
それから、口には猿轡(さるぐつわ)。
悶えている間、小太りの重たい体重を乗せた脛(すね)が、ギロチンのようにマークスの首筋を圧迫していたからであろうか、彼は次第に朦朧となり、意識は沈んでいった。
つづく・・・