〜契約〜

美香子は少年に胸を触らせる事を承諾し、その身を彼へ向けた。
「これで、契約成立だね…。」
始めて触れる甘美。
トンペイは、逸(はや)る心に折り合いをつけるように、念入りに手揉みをした。
(こんなはずじゃあ…。)
美香子は顔を背けながら、恥じらいと諦めと、少しの後悔を胸に持った。
まずは右胸。
少年は指先を伸ばすと、胸の頂きを流れるブラウス生地を摘み、そっとめくったのだ。
すると、どうだろう。
しとやかな豊乳にふさわしく、先端に、淡くにじむような桃色の暈が現れたではないか。
互いの境界線は、まるでミルクに溶けるピーチカクテルのように曖昧であった。
乳輪の中央には、蕾のように口をつぐんだ突起がそびえている。
「す、すげぇや。この穴から母乳が出るんだね。」
「あ、あたりまえじゃないッ!」
何が悲しくて、子供に乙女の純潔を見せなければならないのか。
そう考えると美香子は自身が情けなくすら感じてくるのだ。
続いて、少年の片手が、左の胸を露わにすると、一層目を輝かせた。
見事に実る母性の結晶が、対となってそびえる。
少年は、掌を乳房の下に添えると、肉房の重さを確かめるように、2度・3度、たぷたぷ…たぷたぷ…と、持ち上げるではないか。
しっとりと媚びながら、掌には、女の熱い体温が伝播する。
左右の手が、量りにでもなったかのように、右、左、右…と、感触を楽しむ。
(さっきの男と同じ事してんじゃないわよ…。男ってヤツは…。)
美香子の胸が急激に成長しだしたのは、中学生2年生の頃からであった。
当時、体育で走ると、体操着の中で乳房が、大きくうねり、揺れる様が男子生徒のやらし気な視線の的となり、不快な思いをした事を思い出す。
それほどまでに、男は大きな乳房に惹かれるものなのであろうか。
少年は5指を乳房全体に広げ、目一杯に食い込ませ、むにゅり…むにゅり…と、揉む。
すると、なめらかなシルクは、思いのままその形を歪めるのだ。
瑞々しい弾力を残し、しかし、この上なく優しく柔らかである。
その矛盾した感覚が、溶け合いながら、少年の掌全部を満たす。
そして気のせいであろうか。
揉めば揉むほどに、火照るような熱が掌を打つのだ。
(そう言えば…。)
少年はある事を思い出した。
ジャイルの嗅覚によれば、美香子は処女だと言っていた。
つまり、自分が、彼女の胸に触れる最初の男である事になる。
なんとも、心地の良い充足感を覚えるではないか。
心なし彼女の呼吸も少し荒く、緊張が混じる。
「も、もう…十分でしょ?」
しかし、少年は「まだまだ…。」と美香子の言葉を制した。
そして、顔を美香子の胸に近付けるや、唇を突き出したのだ。
(え?…ま、まさかッ!?)「ちょっと、触るだけって言ったじゃない!」
美香子は取り乱しながら、小さな声には撥ねつける勢いがあった。
それに、少年は冷静に言った。
「舌や唇で触っても、“触る”って言うんじゃないのかな?」
そして、少年の唇は、美香子の左の乳頭に、むちゅり…と吸いついたのだ。
「……ッ!」
まさか愛撫まで受ける羽目になるとは…。
思わず、美香子はまぶたを閉じたのだ。
根元から絞り、くびり出た肉峰は、男の欲情を煽り誘い込む誘蛾灯。
少年は上唇と下唇で、朱の暈を包むようにくわえ、ちゅぱちゅぱ…ちゅぱちゅぱ…と短い吸引を繰り出す。
さらに、そこから舌を出し、ねっとりと乳頭に絡め、その味を楽しむのだ。
(な…なに…これ!?)
始めて身に浴びた、オスの味覚器官は一つの生き物であった。
女の恥じらうツボを承知しているか、乳首の下から食い込むように、責めたて激しく揺さぶるのだ。
右の乳房はどうだ。
少年の手は、肉を捏ねながら、人差し指と親指で、蕾をくいくい…くいくい…と摘んで、美香子を悩ませるではないか。
彼女の首筋から耳、頬に至るまで、真っ赤に染まっていた。
責められる乳房の、その先端は勃起を隠せないでいる。
蕾は、今、まさに花開かんと言わんばかりに、大きく、その内に芯を生み、存在を主張してくる。
そして、少年の唇は、もう片方の乳頭へと鞍替えし、吸いついた。
「ぁ…ッ!」
美香子は、腹から突きあがらんとした声を押し殺した。
嫌悪とも恐怖とも違う、別の、恥じらう悲鳴。
上半身を焼く熱は、全身を対流しながら、行き場を求めた。
頭の天辺に、耳先に、手足の先や股間にまで、しびれのような感覚を植え付けてゆく。
それから、少年は、顔を双乳の狭間へうずめた。
夢心地とはこの事を言うのだろう。
シーツの海に突っ伏すように飛び込む。
両頬・耳にあらん限りの肉のひしめきを受け、また違う悦びを覚えているのだ。
むにゅり…むにゅり…と熱く柔らかな抱擁。
少年の鼻孔には、かすかな発汗と、フローラルな香りが流れ込み、蝶や蜂にでもなった気分である。
「すげぇや…これがお乳てヤツか。」
少年は顔を上げて目を輝かせながら堪能しつつ、美香子を見るのだ。
好奇心と欲望の凝縮されたような瞳。
男って子供の頃から、こうなのかしら?と美香子は思った。
「ま…まだかしら?…お姉さん、恥ずかしいんだけど。」
「…じゃあ、…そろそろ行こうか。早くしないと見つかっちまう。」
そう言いつつ、最後に、名残惜しそうに右の手で肉房を、たぷたぷ…と揉んだ。
「スケベッ!」
そう言いそうになって、美香子は思いとどまった。


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