〜ノーパンチアガール〜

翌日。10時。
チアガール部は四回生の最後の大会の日を迎えていた。
昨晩、銭湯で起こった惨劇は、女性として耐えがたい恥辱であったが、周囲には迷惑はかけられないと、その場にいた全員が涙を飲んで口をつぐんだ。
「大会が終わるまで、みんな頑張って!!昨日の事は、大会後、きっと私が責任を持って通報するわ!」
そう言ったのは、四回生キャプテンの大塚であった。
彼女も昨晩、あの銭湯で凌辱を受けた一人だが、部を束ねる責任もあって、大会成功を優先せざるを得なかった。
自身が1・2回生の立場なら、昨日の事は、部を犠牲にしてでも騒ぎ立てたであろう。
女性としてそれができない辛さをかみ殺し、大塚は昨日銭湯にいた連中を呼び、激を飛ばした。
「いままでやってきた事だけを思い描いて!!いい!?聞いてる!?葵!」
大塚のその熱を帯びた視線に進藤葵は身体の芯に電撃が走る思いだ。
「は、はい!!」
葵も唇をかんだ。
女として恥辱の限りを受け、今や精神はボロボロであった。
しかし、それは他の11人も同じと改めて思い知る。
たしかに、部の半分くらいの生徒は昨日の事を知らない。
誰も知らせたくない。
しかし、四回生の先輩方の最後の大会・二回生にしてセンターになった事への重責、そして、今日まで共に研鑽に励んだチームとの絆を裏切れない思いが葵を奮い立たせた。
進藤葵はスカートの縁をギュッと掴んだ。
定刻が一秒・一秒と近付いてくる。
「葵!返事は!?」
「はい!すいません!」
葵は先輩の厳しい叱責に大きく返事をした。
しかし、その返事の裏に別の意味合いがある事を他の部員は知る由なない。
〜続きまして、S大学。曲名はAvril Lavigne(アヴリル・ラヴィーン)による、ガールフレンド
。〜
会場にプログラムを読み上げる声が終わると、ギターサウンドに乗った、ビート感みなぎる音楽が鳴りだした。
リーダーの掛声と共に、チアガール15人が一斉にステージへ飛び出した。
ボディに青と白を組み合わせ、ミニスカートは紺色をしたコスチューム。
みな両手に、同じく青と白を混ぜたボンボンをカサカサと鳴らしていた。
それが、S大学のチアリーダー部のシンボルカラーである。
幕際では補欠の部員たちが、歯を食いしばって見守っていた。


「昨日、進藤葵を連れ出して、どうなったんです?そろそろ教えてくださいよ。」
中富が横に座っている荒井に聞いた。
二人とも、今日開かれるチアチーダー部の大会へ足を運び、観客席中段辺りへ陣取り座っていた。
「ほれ、あれを見てみろよ。」
荒井が、斜め前方を指差した。
すると、中学生の数人の集団が4・5グループいるのだ。
「あれが何か?」
「疎い野郎だな〜。わざわざ中学生が集団で大学のチアチーダー部の大会へ来ると思うか?」
「…。そうですよねぇ?家族の者が出ているとかなら、家族で揃って見に来るはずですよねぇ…?」
中富は首を傾げたまま黙った。
「あの中学生はなぁ、じつに昨日、進藤葵のファンになったスケベな野郎どもなんだよ。」
「昨日ですか?」
そう言いかけ、中富はハッとした表情になった。
「ようやくわかったか〜?」
その時、ステージ脇からS大学のチアリーダー部が飛び出し、進藤葵をセンターに三角形の陣を組んだ。
「昨日、葵を吊ったまま、銭湯を出たら、ややあって、まず下校途中の中学生の4・5人集団に出会ったんだよ。」
そう荒井は、記憶のページを捲り話し出した。
「その連中の前へ、立ちはだかったわけですね?」
中富が相槌を入れる。
「ああ。まだ女性経験のない男の子ってのは、可愛いもんだね〜。裸の女体を見るだけで、興奮がMAXになるんだよ。エロ本を隅から隅まで舐め見るように、葵の秘部と乳と顔を交互に見てやがったよ。」
「それは中学生の目に毒でしょう。あんな可愛い娘の処女喪失の清らかな瞬間を生で見せては…。」
檀上では、チアガールが可愛らしいミニスカートのフリルを揺らせながら、踊っている。
「連中、どう言ってました?」
「そうだな〜。“アワビがぱっくり割れてる〜!”とか“綺麗なサーモンピンクだぁ〜!”とか、エロ本で覚えたような言葉を連発してたかな〜。」
「はは。それ進藤葵のオメコの話ですよね。」
二人の目は、一杯の笑顔を振りまくステージ上の葵に注がれていた。
2000人の観客の入る会場で、まさかセンターで踊っている美女が昨日、散々たる恥辱を受けた事など、他の客は知る由がない様が滑稽であった。
自分たちだけが、知っているという優越感を限られた僅かな男が握っているだけなのだ。
「やつら、指を銜えて、羨ましそうに見るもんだからよ〜。クリちゃんだけは、お触り自由にしてやったよ。」
「それじゃ、葵も喜んだでしょう?」
「もう、わんわん泣き喚(わめ)きながら、触らないで〜!って、中学生に懇願していたよ。そういう中学生に計5グループ出会ったかな。」
「ああ、それが、ここに来ている連中なんですね?」
「最後に、今日の大会の事を教えたら、えらく喜んでいたかな。絶対行きますとか言って!」
次第に増してゆく会場の熱気がざわめきを帯びてきた。
荒井の冷めた視線は、それを知っているとでも言う様相である。
「そうそう、昨晩、進藤葵を脅しておいた。」
「え?」
荒井の言葉に、中富はステージに向けた目を戻した。
「大会にはノーパンで出ろってな。そうしなければ、チアリーダー部全員を犯すって言ったんだ。」
その時、チアガールの陣形が変わり、最前列に葵を含め、4人が並んだ。
半身に構え、腰を振る度、フリルがひらひらと舞うのだが、葵以外の3人は、捲れたミニの中から白いパンツ型のコスチュームが見えるが、葵は違った。
パンツが見えないのだ。
その代わり、白皙(はくせき)の腿から臀部の切れ上がるラインがまるまる覗く。
つまり、下半ケツが見え隠れするのだ。
「素直な女だ!チームの先輩方の為に…。」
荒井は苦笑を交え、言い捨てた。
フォーメーションは、前列と中後列が入れ替わり、前列は、側転しながら、バックへ下がる。
しかし、それは瞬間的な出来事であった。
4人の女たちが、体ごと横向きになり、片側へ上体を倒したのだ。
腿を大きく、ガバリ!と開き、まるで車輪のように回った。
その時、観客の疑念は失せると共に、悲鳴を押し殺したような空気が会場に満ちた。
進藤葵だけ、何も穿いていないのだ。
側転の際、モロ出しの女陰が全ての目に放たれたのだ。
一瞬であったが、スローモ―ションを見せられたように鮮明に脳裏へ焼きついた。
女性の観客は目を伏せ、男の観客は唖然と口を開き、荒井に促され、連れてこられた中学生は、目を見張り葵の踊りを凝視していた。
中にはケータイやホームカメラで撮影する不埒な輩までいるのだ。
進藤葵の女の園が、動画として記録されてゆく。
続いて後列と前列が肩を並べ、陣形は横一列に並ぶ。
そして、空手のかかと落としのように、女たちは一斉に片脚を高く上げたのだ。
葵だけ、パンツがない格好は、弥が上にも目立つ。
会場中のスケベな視線は彼女の淫裂に注がれているといっても過言ではない。
片脚がせり上がると、都合、左右の肉付きのバランスが崩れる為、股間のクレバスは斜めに蛇行するように歪み、むっちりと張る恥丘にSの字を見せた。
艶めく草叢が柔らかく茂り、踊りの勢い相まって微かに揺れ、そして汗ばんだように熱(いき)れていた。
「あらら…。恥ずかしいねェ。葵ちゃん。まだ二十歳なのに…。」
会場の荒井からも、葵が懸命に唇をかむ様子がわかる。
中学生の集団も、昨日、相まみえた使用中の秘部とは表情の違う、進藤葵の自身を目の当たりにし、興奮を抑えきれないふうがある。
チアガールの演技は終盤を迎えていた。
15人が、ピラミッド状に3段の陣形を組んだ。
その頂きに葵一人が立つ。
そして、音楽が終わると当時に、頂上に立った葵は両腿を大きく開き、脚をV字にして落下するではないか。
凌辱でほぐれた淫花は、襞(ひだ)を外側に反る格好で咲いていた。
内側の粘膜が惜しげもなく観客に向けられているのだ。
2段目も一気に崩れ、最下段で葵をみんなで受け止め、演技は終了した。
ステージにいる15人全員は、会場との空気の隔たりを感じる暇もなく、ステージ袖に駆けこんで消えた。
「それじゃ、チアガール部全員を犯す準備でも始めるか。」
荒井は背広を整えながら、立ちあがった。
「進藤葵との約束は反故(ほご)にするんですか?」
中富も後を付いた。
「今の葵の行動を世間はどう見るかな?“女子大生!衆人環視でお宝露出!”“破廉恥、女湯で乱交!”う〜ん、まだありそうだ。みんな変態チアチーダー部として報道されるのさ。いや、きっとそうさせてみせる。」
荒井の瞼の裏には、数十人の裸体の女子大生が悶えているのではないだろうか?
大食いのフードファイターが食卓一杯の料理を前にした心境に似た心地を持っているのだろうと、中富は荒井を見ながら彷彿していた。

その直後、○○銭湯とS大のチアチーダー部は新聞紙面を騒がせ、消えていった。



                                                                     

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