〜ねがい〜

二人ともが「はぁはぁ」と、息せいていた。
12歳のカタチは、薄い毛並みが印象的で、それが故、薄灯りの中でも裂の様をはっきりと捉える事ができる。
硬さを残す少女の肉は、終わると、またすぐに閉じ、その隙間から白く濁った液がわずか一筋垂れているのみであった。
幼い身体が自身の中で精製した愛液なのであろうか。
小林は美嘉の性器に注視しながら、ふと視線を彼女の表情に戻した時、偶然女と目が合った。
美嘉も一息つき、何の気なしに天井に目をやったのだろう。
彼女の体勢がやや仰向け気味になっているのだから、少し視線をずらせば天井に向くことは自然であった。
小林は気まずく「あッ!」とした表情を色濃く浮かべたに違いない。
他所の部屋を覗いている身であるゆえ、立場が悪かった。
しかし、先に視線をずらせたのは美嘉の方だった。
表情を変える事なく、何事もなかったかのように、横を向いた。
自身の女として清らかな行為を盗み見られていたにも拘わらず、そんな気はおくびにも出さなかった。
目の前の男に両足首を掴まれ、聖域を丸出したまま、二人の男の視線を受けていた。
「美嘉ちゃん!綺麗なオマンコしてるね〜!」
男が美嘉の大事を舐めるように見て喜んだ。
男の手が美嘉の片足を解き、その指で閉じた花を左右に開いた。
「ほら、ここにおしっこの穴が見えるよ。」
その男の言葉に彼女は“ふふ…!”と愛想笑いを返した。
その頃になると、パーテーションの上の境に小林の姿はなかった。
後は、隣で男女二人が衣服をまとう、絹擦れの音を聞きながら、溜息を一つ吐き、部屋を出ていった。

小林はオープンスペースと呼ばれる、壁際にはカウンターが、そして中央には円い机と椅子がならぶ大広間にいた。
マンガを数冊手に取り、読もうとしたが、どうにも、そんな気分にはならなかった。
読書を諦め、本を返そうと通りへ出た時、奥から出口に向かう人の会話が聞こえた。
「お姉ちゃん、遅いよ!」
少年の声だった。
「コラ!美嘉何やってるの?」
その声に小林は思わず、その方を見た。
「ごめん!ごめん!欲しい本が見つからなくて遅くなっちゃった!」
可愛らしい、聞き覚えのある声で笑って話している少女は、小林の知る女であった。
(そうか、家族連れできていたのか…。)
小林は呆け気味に美嘉に見入っていた。
個室の薄くらい場所で見た時と違い、キラキラとした明るさの中では、想像を超える可憐を持っていた。
“咲いたばかりの花の色が一番鮮やかである”
そんなふうに表現できる魅力を彼女は持っていた。
家族が美嘉を待ち、三人そろって出口へ行く。
すると、通りですれ違う時、またもや美嘉の視線と小林の視線が交差した。
こんど「あッ!」と驚いた表情を浮かべたのは、美嘉の方だった。
家族が横にいるからなのだろうか?
逃げるように視線を避けた。
小林は呆け、あるいは12歳の少女に魅せられながら、その姿を目で追っていた。
美嘉はピンク地にグレーのストライプの入るTシャツを着ていた。
12歳…、いや12歳にしては、多少大きめな膨らみを胸に突き出していた。
下のミニスカートは上と同じ模様の綿地で上下揃っている。
その柔らかな素材が、彼女の臀部を優しく包み形をつくっていた。
さっきは暗がりではわからなかったが、張りのある豊かな肉づきをしていた。
その双臀に今しがた男の抽送を受けてきたのだ。
彼女の「欲しい本が見つからなくて遅くなっちゃった!」とは、作った言い訳である事は明らかであった。
小林は彼女が何をしていたか知っているのだから。
出ている所は出ていながら、それでも腕や脚はまだあどけなく、華奢であった。
美嘉はその未成熟な肉体を男に売っていた。
何事もなく歩いて去る美嘉の両脚の間に備わる清らかは、親の知らない所で、野蛮な大人に貪られていたのだ。
小林は少女を見送りながらそんな事を考えていた。


小林は数日後、ネットカフェを出た。
収入も安定し賃貸のアパートを会社の近くに探した。
社内では営業。
主に一般の家庭を回り、家の改修工事などを請け負う仕事である。
「では、後日お伺いしますので、ご検討ください。」
小林はそう言って、頭を下げると訪問先の玄関のドアを閉め、門の外に止めてある車に向かった。
時刻は午後3時半を回っている。
辺りには下校途中の小学生の姿が散見された。
他愛のない会話で盛り上がり、騒がしいくらいの連中もいた。
「ええ?総太郎君は、社会が嫌いなんだ?」
その会話へ小林は目を向けた。
男は「おや!?」と思う。
偶然そこに見たのは、美嘉の姿であった。
隣に少年の姿がある。
(彼が、例の総太郎君なのだろうか?)
小林はいつか、美嘉の言っていた言葉を思い出していた。
二人は仲良く手をつないでいる姿を見ると、美嘉の望みが叶ったのではないだろうか。
美嘉は平均的な小学6年生よりも、僅かばかり身長が高く、総太郎はそれよりも2.3cm低い。
つまり、美嘉の方が高いのだ。
大人の目から見れば、チグハグな関係に見えなくもないが、当の子供達は関知ない事だろう。
小林は二人の後ろ姿をほほえましく見ていた。
「オレ、美嘉ちゃんみたいな優しい女子が好きなんだ!」
総太郎は満面の笑みで言う。
「総太郎君!ずっと一緒にいようね!」
今、その時の美嘉の表情はあどけない小学生の微笑みであった。
小林は一時であっても、美嘉の前に男として立った際の思いが蘇っていた。
(彼ら二人はこの先、本当にずっと一緒にいるのだろうか?)
小林の視線は横の少年に向いた。
美嘉はわかってないのかもしれないが、男なら愛した女性の性経験は非常に重いものになるのだ。
十代であるならなおさらである。
いつか、二人がそういった関係に発展した時、男は愕然とするに違いない。
美嘉の初体験は12歳。
ネットカフェでも、学校でも、男を誑(たぶら)かす術に小林は脱帽していた。
子供ながらでも、女は恐ろしい生き物だと感じ、身震いした。


完。

                                                                     

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