「はあぁんッ!」
瞳の貌が振り上がると、額に滴る汗が宙に弾け飛んだ。
「どうだ〜!?初体験は?んん?」
ハルクは含み笑い、瞳の耳元へ呟いた。
瞳はイヤイヤと身を悶えるも術がかかり…、いや術など疾うに解けているのだろうが、峻烈な突き上げの勢いに圧され、逃れられずもがく。
「ところで、探し続けていた父親の行方は気にならないかね?」
(な…なぜ、その事を!?)
抽送に悶える瞳の表情が、別の意味で険しく歪んだ。
いや!今は重要なのは“そこ”ではない。
なぜ、ハルクが“今”瞳の父親の話を持ち出したか。
「運命って信じるかい?結婚する異性と出会ったとき、始めは“お友達”でしかなかった。あるいは、“大っ嫌い”なヤツだったのに…!よくある話だ!」
「う…ッ!はぁ…ッ!な、何が…、ぁ…言いたいの!?」
「巡り合わせにも拘わらず、人と人は運命の糸が見えぬゆえに、すれ違い、気付かぬという事さ!」
ハルクの右手が、執拗なまでに、瞳の肉房をむにゅり…むにゅり!と揉み込む。
「…はぁ、ぁんッ!」
瞳は一層激しく喘いだ。
「ほら…見てみろ…!お前の右斜め前にいる男を…!」
ハルクに促されながら、瞳はその者の方を見た。
すると、ある“違和感”を覚えたのだ。
瞳の父親が生きているとすれば、ちょうど同じくらいの歳をした中年の男性であった。
しかし、熱狂の中で、その男性だけが、表情を沈ませ、時折目を俯けていた。
「どうだ?気付いたか?」
ハルクの言葉に、胸の奥でドキリと、不快な鼓動が打つ。
「甲賀が、全勢力を注ぎ、遂に見つけ出したのだよ…!」
「う…嘘…!」
瞳のマスクの下は、真っ青に染まっている。
「しかし、二人をここに導いたものは、我々ではない!それが運命!貴様も自らの意思でここに来ただろう!?」
男は続ける。
「優しそうな父親じゃないか…!思い出の中にいる娘は昔の幼いままか?しかし、片時も忘れた事などない…!きっと、会いたいと思いながら、それを押し殺し、今日に至るに違いない…!」
「父親の名は…そう、館山 健治(たてやま けんじ)。貴様の蓮音は母が方の名だな…。」
「だ…黙れ!だ…だから、何なのよ…!?」
すると、ハルクはニンマリと口角を吊り上げた。
「健治さん!この女を見るがいい!」
ハルクは、囲い込む観客の中に向け、彼の名を呼んだ。
「…え…?あ…、ええ?」
途端に呼ばれた、中年の男性はビクリと驚き、顔を上げるが戸惑いは隠せなかった。
「いつも、あなた胸にある大切な宝を私は知っている!愛しい娘がどこにいるのか、教えてさしあげようか!?」
そう言いながら、ハルクの左手が、瞳のマスクにかかった。
(そ…それだけは!!!)
瞳がハルクの画策を直感した。
「みなさん!この美しい女性の素顔を見てみたいと思いませんか!?」
声高らかに放った一言に、会場を埋める男たちから、歓喜が突き上がる。
「ずっと気になっていたんよ!」
「もしかして、有名な女優さんとかじゃないか!?」
「いやいや、将来ブレイクしたりするAV女優か…!?」
観衆は口ぐちに瞳の素顔に対し、期待を込めた賛美を言う。
「や…やめて!」
瞳の懇願する声は泣き声が混じり、聞きとり難いくらいにぐちゃぐちゃであった。
「平成○年…△月□日生まれ…K大学に通う可憐な19歳!…その正体は…!!」
そこまで言い上げると、ハルクは声を一層張った。
「旧姓館山、今は蓮音…!蓮音瞳だ!!」
瞳の中で、時間が止まったかと錯覚する。
全てがスローであった。
人々の笑い、怒号、歓声、そして男の抽送。
視界の中で顔を覆うマスクの陰が、遠くへ離れてゆく様がコマ送りで流れた。
しかし、それは無情の極みであった。
名が呼ばれると同時に、瞳のマスクが、剥ぎ取られてしまったのだ。
ゴムの輪が頭部から抜ける瞬間、バサリと髪がばらけ、漆黒の光沢が舞った。
乳房を曝し、性器を曝し、それでも隠し続けた素顔が遂に曝された。
周囲の男たちは感嘆した。
綺麗だ!
まるで、闇夜に一筋の来光が射し込んだような、気高い“美”を目の当たりにした。
その女が犯されている。
しかし、健治と呼ばれた男性の表情が砕け散った。
目の前の女性の名を聞き、思い当たる節があったのかもしれない。
それを見た時、瞳の思考も一つの結論を得たのだ。
お父…さん……。
しかし、そこからの交渉が熾烈の一手を極める。
ハルクの右手が、女の股間に伸びると、指を花なる部分に沿わせ、目一杯に拡張せしめた。
「や…やめてェ――ッ!み…見ないで!!!」
父親に邂逅(かいごう)する自分は、こんな惨めな姿のはずではなかった。
瞳の膣口が、肉塊を頬張りながら、襞は裏側を返し、粘膜を周囲へ見せるではないか。
そうして、ハルクは中指で、淫核を抑えると、ぐにり…ぐにりと、円をかき、急所をなじった。
「いやぁぁ!あ…ぁ…ああんッ!あひぃぃぃぃ――ああぐぅぅああん――ッ!!!」
瞳は哀訴と喘ぎを交え、絶叫した。
その体勢のまま、左の手が、豊乳を掴み、揉むのだ。
腰のスウィングで女の全身は突き上げられ、一転、男が腰を引けば、野太いペニスがずずずず…ッ!と胴を現し、瞳の落下と同時に、男は再び女の胎内へ肉は埋没し、それが幾度となく繰り返えされた。
肉壺のうねりは、伸縮と痙攣を繰り返し、蜜と共に戯れ、男を祝福するようである。
ハルクのピストンが、次第に加速を始める。
抜き差しのストローク、肌と肌の弾ける感覚が、短く、狭まる。
「いや…!!あ…うッ!!いやぁぁぁ――ッ!」
瞳は胎内を駆ける灼熱に、情事の終焉を悟った。
悲しく凍てつく心を、無慈悲に、理不尽に、鉄鎚で打ち砕かれるようであった。
自分が粉々になって、消えてしまいそう。
肉棒はそれほどに、女体を辱めた。
お父さん…!
声に出さないけれど、彼女の唇は叫んだ。
しかし、次の瞬間、膣内の最奥で、マグマが爆したのだ。
「熱い!」
瞳も胎内で昇天を迎えた。
ドックン!と大きく波打つ衝動が、内から女を揺さぶったのだ。
そこからは、望まぬ伸縮が繰り返された。
阻みようもない生物の生理。
大好きな異性を陰から眺めている、胸のドキドキしたような感覚が、今、自身の膣内で、肉体の中枢で起こっていた。
まるで女体自ら喜悦しているようで、悲しかった。
「あはぁんッ!ひぃ…ひぃ…ひぃ…ひぃ…!!あはぁぁぁ――ッ!」
女の視点は茫漠となり、息は荒く、肉体を激しく痙攣させるや、甲高く喘いだ。
周囲には言葉はなかった。
男と女の官能劇が幕を下ろした様を最後まで、みな見届けた。
ハルクは余韻に浸る。
ペニスは先端から真っ白い飛沫を上げ、快楽を謳歌していた。
とめどなく男の欲望は垂れ流され、ドクリ!ドクリ!と地響きのように射精が胎内を打つ。
ピストンを終えてもなお、脈打つ至福は止まぬまま。
瞳は震え、肉体の中心で、活火山の唸るような噴火の音を聞き続け手いた。
いつまでも…。
完。