2Fに上がると、右手に長い廊下が続いた。
「大丈夫…!?気をつけて…。」
先を行く幹恵は後ろの小山を気にかけたのだ。
閉じられ、並ぶ襖からは、営業中の時の賑わいはなかった。
階下からスタッフの後片付けする物音が遠く、静寂の中に漂って聞こえていた。
二人は突きあたりまで行くと、左に折れ、さらに奥の部屋まで突き進んだ。
”紫陽花の間”
奥の部屋の入り口の上には、木彫りでそう書いてあった。
襖を開くと照明は消されてい、彼女がそれを点けたのだ。
部屋は大部屋ではなく、8畳の中間的な規模のものであった。
先に部屋の中ほどまで入り、幹恵は後ろを向くと、小山は入口のところで緊張してか立ち呆けている。
「さ、入って…。ちゃんと扉は閉めて…。」
小山は言われるがままに、中に足を踏み入れると、左右の襖を合わせた。
「こんなところでスルんですか?」
高校生の彼にとって、初体験の現実は想像とは大きくかけ離れていたのかもしれない。
「あたり前じゃない…。そんなに深く考えないで…。」
幹恵は小山から視線を逸らすと、手にしていた袋に詰められたおしぼりを封を開け、取り出した。
「イザと言う時、童貞だと恥ずかしいでしょ…?」
「は、はぁ…でもぉ…。」
小山は緊張し、必死に自身を抑えようとしているのが、ぎこちない仕草から分かる。
「そうねぇ…予行演習だと思って……。学校でもあったでしょ?火災が起こった時の避難訓練…。予行演習なのに、本当に火事を起こす学校って聞いた事ないと思わない?」
そこまで言うと幹恵はタンクトップの前をまくり始めた。
その隆起したシルエットが一つベールを脱ぐ。
布地は薄く捲れ、下からブラに包まれた双丘が現れたのだ。
「君もズボンを脱いで…。それとも、チャックの間から出してするの!?」
本当に他人の前で下半身を曝すのかと思えば、緊張を通り越して、なんだか呼吸すら困難に思える。
思え返せば、小山は小学5年生になる頃から親とも一緒にお風呂に入ってはいない。
思春期を期に、誰にも見せた事のない場所を曝すと思うと激しい抵抗があるのだ。
例えば、想像してみる。
クラスメイトの前で下半身を露出すれば、きっと男子は冷やかし、女子からは悲鳴が上がるのだ。
校内には彼にとって苦痛と同じ噂が流れるに違いない。
「どうしたの?怖気づいた?」
彼女はもう、下に履くホットパンツまで畳の上に脱ぎ放っていた。
そのまま、やや前傾姿勢になると、背後に手を回し、ブラのホックを解いてしまった。
彼女の胸にぴったりと密着していたお椀は、ぷる…んと放たれ肌と乖離した。
まろび出た豊乳は、ラ・フランスのように流れる稜線をしつつ、肉感に溢れ、扇情的であった。
マンガで見るような、綺麗に張ったメロンのような曲線ではなく、どこか撓(しな)ったたっぷりとした形に、生活感というか妙な現実感を実感させた。
小山がズボンとパンツを脱ぐと、男の一物はすでに勃起していた。
懸命に平静を保とうとするも、心臓はバクバクと激しく太鼓を打ち、下半身は燃え、しかし同時にガクガクと震える。
「適当に寝そべって…。」
幹恵はパンティを下ろしつつ、視線を小山に投げた。
彼女のパンティは臀部を滑り、腿を抜け、足首に差し掛かる頃になると、まるでジャバラのようにクシュクシュになって、過去の形を失ってしまった。
「簡単に済ませるから、ブラは全部外さないけど…許してね。」
幹恵は下半身は全て脱いだものの、上半身は乳房を曝しつつ、しかし、ブラジャーも肩紐を抜いていないし、タンクトップも胸上までまくったまま。
「か…簡単…にですか?」
「そうよぉ…。料理と一緒。出来る女はちゃちゃッと済ませちゃうの。」
彼女は眼鏡を外した。
今まで、よくわからなかったが、彼女は綺麗な二重瞼に透き通るような瞳をしていた。
鼻もバランスがとれてい、きっと男の好む容姿である事に紛れはなかった。
「今日の素材は、極太のエリンギですか…?えへへ…ッ!」
幹恵は寝ている小山の傍に来て、勃起に指をからめ、悪戯事を共有する友達のように笑った。
しかし、小山の口の中は、喉の奥は、カラカラにしなびて声も出ない。
「すごいギンギンじゃない…。まずは合格ね。これが若さってヤツかしら。」
幹恵は小山のペニスの造形を確かめつつ、5指を上から下へ、下から上へ、踊らせつつ勃起をしごく。
愛おしそうな眼差し。
いや、何かに酔ったように幹恵は淫靡な微笑みすら浮かべているではないか。
彼女は口を開くと、降りかかる髪を右手ですくい耳の後ろへかけ、むくりと膨らんだ亀頭から口に含んだ。
ねばり、踊る粘膜の感覚が、むちゅちゅ…り、と敏感を煽るではないか。
竿は指の腹で優しく絞られ、頭は舌を震わせ、ちゅくちゅく…ちゅくちゅく…と甘美を受ける。
「れろ、れろれ……ぐにゅ、んぅ、…、ぐぽっ、ぐぷぉぅ……ぅ…んんッ…ぅ。」
時折、根元まで口に含んでは、幹恵は鼻から荒い吐息を放ち、愛撫に耽る。
幹恵は貌を右へ傾け、左へ傾け、ねっとりと突きだした唇が隈なくペニスへ絡むよう、技量を尽くす。
「す…すごい…。幹恵さんの舌って生き物みたいですね。」
天井を見上げたまま、小山の緊張が茫漠となりつつあった。
互いが深く深くなれば、それだけ、羞恥や不安といった雑念が消え失せ、悦びや楽しみを開いてと共有できる。
そんな安堵にも似た心地を彷徨っていた。
幹恵が口からペニスを抜くと、唾を手に取り、自身の股間を濡らした。
それから、上体を起こし、片脚を上げつつ、小山の上へまたがったのだ。
初めての小山は、彼女の一挙手一投足をただ見つめていた。
入院患者が看護婦に全てをゆだねている状況に近い。
「今までの中でも、大きい方かも…。」
幹恵は、ペニスを手繰りつつ、先端を秘穴へと導くのだ。
腰の位置を調節し、彼女にとって、いつもの位置に肉棒を確認すると、じりり…と腰を下ろした。
小山の男の先に幹恵の花弁が触れたかと思うと、彼女はちょっと腰を上げ、再び沈め、再度上げ、それから深く腰を落とした。
きっと埋没してくる肉塊と蜜壷の状態を相談しつつ、より深くへ導いているのだろう。
「あぁ…ん…。入った…。」
彼女は独り言のように呟いた。
それは、女として、胎内に自分以外の別の存在を実感して出た言葉なのだろう。
深く深く…お腹の下の方まで異物がもぐる。
それから、彼女は無言のまま、当たり前のように腰を上下し始めた。
拘束のない双乳は、小山のすぐ目の前でゆっさゆっさと恥じらいもなく揺れる。
ああ、なんて夢のような光景なのだろう。
「幹恵さん…おっぱい触ってもいいですか?」
小山の言葉に彼女は笑った。
「当たり前でしょ……。…ぅ…ん…。セックスなんだから…。」
しかし、その時の彼女の声には、震えるような熱い吐息が混じっていた。
しっとりと濡れそぼつ肉筒は、摩擦のたびに愛おしく愛おしく男根を絞り、男を悩ませる。
幹恵の身体は、女として性を謳歌しているのだ。
小山は両手で目一杯に彼女の肉峰を掴んだ。
「これが…いつも盗み見ていた幹恵先輩のおっぱい……。」
5指がくねり、温かな柔肉の中を泳ぐ。
大きく、ゆったりとした優しい柔らかさが、これ程刺激的だとは思わなかった。
それだけで、小山は昇り詰めそうになる。
それに加え、幹恵が秘壺で男の肉をぐいぐい…と搾取するのだ。
経験のない高校生に、これ以上抗う術など皆無であろう。
「ああ…せ、先輩…ッ!」
彼は喉を枯らし声を吐きだした。
このたぎるようなペニスを侵す感覚に覚えがある。
そうだ、オナニーをしている時、絶頂を迎える感覚の、しかし、それに比類する事のない大きな悦び。
それが幹恵の中に入ったまま、起こったのだ。
ぐぐ…ッと股間が強張ったかと思うと、エレベーターで最上階に着いた時のように、ふわり…とした感覚がした。
幹恵は小山の安堵の表情を見て、果てた事を知った。
童貞だもの、吐き出したスペルマが並みより多い事くらい承知している。
幹恵は腰の振りを静かに収め、じっと彼の上に跨ったまま、時を待った。
それから、ゆっくりと腰を上げ、膣から彼の肉を抜いたのだ。
粘液を浴び、ぬらぬら…と照る肉塊は、猛々しかった。
幹恵は持ってきたおしぼりで小山のペニスを拭うと、自身の股間も別の物で拭った。
小山は恐る恐る上半身を起こし、幹恵を見た。
こんな場合、何と言ってよいのだろうか。
「あ、ありがとうございます。」
「いえいえ…なんの…。」
彼女に一切の蟠(わだかま)りはなにのだろうか。
幹恵は屈託のない笑顔で笑っていた。
「先に着替えて下りてて……。」
彼女は上半身の着衣を戻す事はあっても、下半身は曝したままであった。
「時間が経つと精子が落ちてくるから、すぐには行けないから…。」
そう言いつつ、幹恵は股を広げ、小山の目の前で秘部をチェックした。
彼女のアソコは、薄めの大陰唇が閉じ切れず、隙間からはずっと双襞が顔をのぞかせていた。
寄り添う襞からは、桃色をした粘膜が見え、秘穴から逆流する白濁を今か今かと待っていた。
「もうすぐ…だと思うんだけど……。」
彼女が立ち上がり、部屋の隅の机にある新しいおしぼりを取ろうと中腰になった拍子、用意のないタイミングでぽた、ぽたぽた…と白濁の液が畳を濡らした。
「もうッ。」
幹恵は困った表情で、おしぼりを広げると、股間を一度拭い、それから畳をふいた。
その直後、無意識のうちに彼女は、首筋を手でかいたのだ。
暫くは、精子を吐きだし、ようやく止んだと頃合いに、彼女はパンティを履いた。
幹恵に言われた都合、小山は先に部屋を後にし、それから5分もたたない間に、幹恵も部屋の照明を消し、階下へ降りていったのだ。
幹恵は厨房へ戻ると、鼻歌を歌いつつ、翌日の営業の準備をした。
その時、後ろを田舎からやってきた訛りを持つ後輩が通ったが、そんな事は意識にない。
彼が訝しげな視線を送るが、幹恵が気づく事はなかった。
別に悪い事をしたわけではないし、私は人助けをしたのだ…くらいに思っている。
それで周りの人が喜んでくれるなんてお安い御用ではないか。
しかし、意にも留めない一つ下の田舎者が将来の旦那になろうとは、今の幹恵が知ったらびっくりするだろう。
話はここで終わりの刻を迎えるが、約束した海へ行った際、二人は今より少しだけ仲良くなる。
幹恵の心がちょっとだけ、彼に傾き始めるのだ。
その時、彼女は“心の恋愛”を知る事となる。
完。