〜最後の裏切り〜

ジェニファーは、傍らに置いたパンティを穿いた。
豊満な臀部をキュ!っと、黒地の布が擦り上がる。
二つ並ぶ臀丘の上にパンティのRが対照に映える。
それから上半身の着衣を整え、裾のシワを伸ばす。
最後にズボンを履くと、何事もなかった様に、デニム地を張った丸みを見せた。
秀隆も身なりを整える。
彼女がそれを見届け、買い物カゴを手にした。
「それでは、お会計はレジになります。」
ジェニファーは会釈し微笑んだ。

カルロスがカウンターから少し離れた場所でジェニファーを待っていると、ようやく彼女が戻ってきた。
手には商品を山積みにしたカゴが下がっている。
そして後ろには、例の日本人がいた。
ジェニファーはカゴをカウンターに乗せると、一つひとつを慣れた手つきでバーコードに通した。
「それでは、$600になります。」
その金額を聞いて、カルロスは驚いていた。
しかし、動じる素振りのない日本人は、さも当然のように財布から紙幣を出し、清算していた。
カルロスは理解に苦しみ、ただ、カウンターを唖然と眺めるだけで一杯であった。
商品を包んでもらう僅かな時間に、その日本人が目を丸くする男に一瞥して笑ったような気がしたのは気のせいだろうか。
ジェニファーがこころなしか、上気し汗ばんでいるように見えているのは気のせいだろうか。
商品を詰めた袋を、彼女の手が秀隆に渡す時、二人の時間の余韻に浸るように、女の艶やかな視線が日本人を掬い見た。
「また来てね。」
ジェニファーは愛らしくウィンクした。
日本人は、手提げ袋を受け取ると、カルロスに目もくれずに店外へと去って行った。

夕刻。17時。
就業の時刻に、ジェニファーはカウンター隅の時計を見た。
「もう閉店だから、いいかげん帰ってもらえる?」
カルロスが粘り強く彼女を待っているのを尻目に、ジェニファーは手洗いに向かった。
個室に入り、カギをかけると、ジェニファーズボンを下ろした。
続いてパンティも下ろすと、膝にデニムと黒地のシルクが輪になって重なった。
彼女は指を膣に差し込むと、思いだしたように、中に入ったままのペッサリーを出したのだ。
「今日も私がNo.1だわ。」
ジェニファーは一日の業務が終わった事に安堵した。
その手にしたペッサリーを汚物入れに入れようとした時、彼女の手がピタリと止まった。
綺麗にカップ型しいているはずなのに、その縁が部分的に破れ、亀裂が生じているのだ。
「え…?」
女の目が動揺に宙を泳いだ。
(いつから…?)

ジェニファーはトイレを飛び出した。
一直線にアダルトコーナーに向かうと、同じ物が並ぶ棚を漁った。
商品を手に取ってみる。
すると、最初は気付かなかったが、ある異変に気づいた。
注視しなければ、分からない程であるが、画鋲か何かで、どれも穴が開けられていた。
ジェニファーの表情がますます歪む。
「あの、ジャパニーズかしら…!?」
いや、確証がない。
以前から商品に悪戯されていたのかもしれないのだ。
質の悪い客か、あるいは、ジェニファーに嫉妬する同僚かもしれない。
(そういえば、いつも自身がNo.1である事を鼻にかけていた。)
様々な心あたりが、彼女の胸に去来する。
すくなくとも、あの日本人とのファックでは、すでに破れていたに違いないのだ。
それが、使用を経て、破れが酷くなったのだ。
「なんてこと…。」
ジェニファーの表情が青ざめてゆく。
手にした商品を壁に投げつけて叫んだ。
「OH MY GOD!!(信じられない!)」
閉店している店内に響いた。
ジェニファーの手は腹に据えられたまま立ち尽くした。


完。

                                                                     

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