「陽菜っ!!入学式に遅れるわよっ!!早く起きなさい!!」
まるで高校時分と変わらない母親の叱責が飛ぶ。
「いやだ!も――っ!!早く起こしてって言ったじゃない!」
肩まで掛かる内巻きウェーブのブラウンヘアーを梳きながら、鏡の前で準備に追われる。
「一人で朝も起きられないんじゃ、いずれ社会に出てもお母さん不安だわ…。」
母親の小言に急かされ、スーツの袖に腕を通した。
大学生活の一歩を踏み出し、ようやく子供から大人の女へと変われると思った矢先の大失態に我ながら情けなくなる。
「入学式に遅れちゃうから…!!」
そう言いながら、食卓に並んだ朝食をそのままに、鞄を手に取り、家を飛び出した。
「最悪の朝だわぁ…。」
雑踏を掻き分けながら、階段を駆け登る。
先日、入学式の為に新調したばかりのスーツは、スカートではなく、パンツを買う事にした。
「お寝坊さんには、走りやすい方がいいでしょ!?」
その親の一言に今更ながら感服してしまった。
プロフィール:三井 陽菜(みつい ひな) 18歳
東京都出身 彼氏歴なし
「もう少し、しっかりしてくれれば、いいのに…。」よく母に言われる小言である。
陽菜はローファーの靴音を高鳴らせ、改札の中へと消えていった。
「――とりわけ、一人暮らしを始める人も多いかと存じますが、自由とは常に責任と背中合わせであり…。自立した一社会人へ向け…。」
「すいませーん…。通してもらえますか?」
学長の話の最中、聴衆を縫って人が過ぎていった。
女の子である。
頭を屈めて背中を丸めながら生徒の間を掻き分けて自分の席へと向かって行った。
すると、タモツの横の空席で立ち止まり、タモツに問うてきた。
「すいません…お名前伺ってもよろしいですか?」
声をかけられ、見上げた瞬間、キュートな顔立ちにドキリと胸が熱くなった。
「お…おら…三船だども…。」
「あぁ…よかった。」
不安が払拭されるとアーモンド型の瞳が微かに目尻を下げ、ニコリと柔らかな光彩を放った。
「ここね…。私、三井です。これって、名前順に並んでいるんですよね。イニシャルがみ≠フ方かなって思ったんです。」
そう言いつつ、座席に腰を下ろした拍子にふわっと風が舞い、三井陽菜のまとう甘い香りが辺りへそよいだ。
(いい匂いだ…。)
タモツはどきどきした想いを抱いたまま俯いていた。
男はくだらないスピーチに退屈していたところだった。
(なかなか、可愛い女じゃなか!)
今、春日井の前をシックなグレーのスーツを着た女が過ぎった。
スラッと均整のとれた横顔に今スクリーンで人気急上昇の若手女優を彷彿させたれた。
新入生、男女の比率は6:4で男の方が多いだろうか。
それでも、目ぼしい女は女子全体の一割にも満たない。
メガネ女やそばかすブスに囲まれて、いたたまれない気持ちになっていた。
(危うく俺の心は勃起不全になるところだったぜ。)
春日井の目がギラリと光り、横目を流しその女を眺めていると、タモツの前で立ち止まっていた。
頭を屈めて中腰の為、女のヒップが強調され、その淫靡な景色は春日井の股間の怒張を煽っていた。
上着の裾が丁度、腰のベルトを覆う程にかかり、そこから張り出された桃尻がスーツの布地を押し伸ばす様に豊かに実っていた。
(あんなケツを眺めていると、バックから射抜きたくなるなぁ…。)
通り過ぎた女の残り香を鼻一杯に吸い込みながら胸を高鳴らせていた。
「官能小説的な一言:女は尻の形で価値が決まる」